軽く触れるだけで開く指紋認証の玄関

誰が帰って来たかは、カギの開け方で分かる。 カギをジャラジャラ鳴らしながら開けるのは、家のカギと車のカギ、祖父母の家のカギを1つのキーホルダーに付けている母親。 カギを挿す前に、ドアを一旦開けようとするのはスポーツ推薦で大学に入った姉。 カギを挿す際、極力、音をさせないように気を遣うのは中学生の妹。 私は失くすため、カギは持たせてもらえず、家族の誰かに開けてもらう。 カギを開ける際、庭で飼っている犬がメッチャ吠えるのは父親。 父親、「あっちへ行け」 ペットの犬、「ウー!!」 玄関を締めた父親が言うのは、「うるせー犬だな」 ペットの犬が父親に「ウー!!」と言うのは、威嚇のため。 家族で唯一、父親に挨拶をするのは中学生の妹。 妹、「お父さんおかえり」 父親、「おう」 妹、「今日は噛まれなかった?」 父親、「今日は大丈夫だった」 父親が仕事に持って行く黒色の皮カバンは、犬の歯型がたくさん付いている。 家族でテレビを見ていると、庭で飼っている犬が吠えた。 妹、「迎えに行って来る」 母親、「行かなくても良いわよ」 妹、「行って来る」 家族がテレビを見ているリビングルームに父親が来ると 父親、「玄関のカギを変えないか?」 妹、「どうして?」 父親、「最新のカギは、指紋認証でカギを解除出来るんだぞ」 妹、「指紋認証で開くならカギは要らないの?」 父親、「うん。会社のカギは全部指紋認証で開くんだぞ」 妹、「凄いねー」 父親と会話をしたのは中学生の妹だけだったが、数日後、玄関ドアのカギが指紋認証に変わった。 母親、「指紋を登録しておけば、軽く触れるだけでカギを解除出来るのよ」 試しに家族全員でやってみると、簡単にカギは解除出来た。 その日の夜、庭で飼っている犬がメッチャ吠えるため 妹、「お父さんが帰って来た」 指紋認証の玄関は、指で軽く触れるだけで開くのに、父親が家に中々入って来ない。 私、「どうしたんだろう?」 姉と妹、「???」 母親、「家族の分しか指紋は登録してないから、開くわけないでしょ!」 なるほど。 玄関の外で 父親、「早く開けてよ!」 庭で飼っている犬、「ウー!!」

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