勘当中のアニキ

祖父の法事を終えて帰宅すると、自宅玄関にカギが刺さらなかった。 カギ穴を覗いてみると、折れたカギが刺さっていた。 家のカギを持っているのは、法事に行っていた私と両親の3人だけのはず。 私、「ドロボー?」 父親、「・・・」 母親、「・・・」 両親揃って何も応えなかったのは、家のカギを持っているのは、もう1人いたから。 私、「アニキ帰って来たのかな?」 父親、「・・・」 父親が答えないのは、アニキを勘当した張本人だから。 父親とは対象的に敷地内をウロウロ歩き回るのは母親、母親にとっては家を飛び出したアニキのことが気掛かりなのだろう。 父親、「アイツを家に入れるんじゃないぞ」 母親、「・・・」 私、「・・・」 私が答えなかったのは、アニキのことが嫌いではなかったから。 父親、「アイツを家に入れたら、お前らも勘当だからな」 鍵穴が塞いでいると家に入れないため、夜中でもスグに来てくれる鍵屋さんに来てもらった。 鍵屋さん、「折れたカギを見せて下さい」 父親、「持っとらん!!」 鍵屋さん、「誰がカギを開けようとしたのですか?」 父親、「知らん!!」 問題を抱えた家族と思ったのか、その後の鍵屋さんは何も聞いて来なかった。 折れたカギが抜けると 鍵屋さん、「スペアキーは作りますか?」 父親、「いらん!!」 鍵屋さんは、最後まで変な家族だと思っただろう。 スペアキーを作らなかったため、アニキが帰って来てもドアを開けられない。 鍵屋さんのお陰で家に入ることが出来ても、父親の機嫌は悪かった。 父親、「絶対、アイツを家に入れるんじゃないぞ」 母親、「・・・」 父親が怒る理由も分からないでもない、アニキは祖父の法事で家族が留守のことを分かって家に忍び込もうとしたのだから。 翌年、祖父の法事から帰って来ると、私が大事にしていたギターが無くなっていた、ちくしょー、来年はアニキをとっ捕まえてやる。

 

鍵トラブル 下関

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